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転職・退職で社会保険はどうなる?

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12分

転職・退職で社会保険はどうなる?

相山 華子(あいやま はなこ)

相山 華子(あいやま はなこ)
1997年慶應義塾大学卒業後、山口放送株式会社(NNN系列)のテレビ報道部記者を経て、2002 年からライターとして活動。各種ウェブメディア、企業広報誌などで主にインタビュー記事を担当するほか、外資系企業の日本語コンテンツ監修も手掛ける。

転職を機に勤務先の企業を退職した場合、それまで加入していた社会保険はどうなるのでしょうか?今回は転職に伴って発生する社会保険関係の手続きや、その注意点について詳しく解説します。

CONTENTS

転職時の
社会保険の切り替え

社会保険の仕組み

会社員や公務員などの給与所得者は、毎月の給与から直接差し引かれる形で社会保険料を支払っています。給与所得者が支払っているのは社会保険料の半額のみで、残りの半額は雇用主の企業が負担しています。そのため、今の就業先を退職して別の企業に勤務することになった場合は、社会保険を切り替えを行わなければなりません。

社会保険切り替えの手続きについて説明する前に、改めて社会保険の仕組みについて、ざっと確認しておきましょう。

社会保険とは

社会保険とは、公的な費用負担で、被保険者・被扶養者が、疾病や高齢、介護や失業、労働災害などの万が一のリスクに備えるための制度です。

広義の社会保険

現在、日本の社会保険には、①病気やけがに備える「健康保険」、②高齢になったときや障害を負ったときに年金を支給する「年金保険」、③介護が必要になったときに備える「介護保険」、④業務中のけがや失業に備える「労働保険(労災保険と雇用保険)」の4つがあり、この4つは「広義の社会保険」と呼ばれます。

広義の社会保険

    1. 健康保険
    2. 年金保険
    3. 介護保険
    4. 労働保険(労災保険、雇用保険)

狭義の社会保険

狭義の社会保険

社会保険のうち、①健康保険と②年金保険と③介護保険の3つを指して「社会保険」とするケースもあり、この場合の社会保険のことを「狭義の社会保険」と呼びます。

    1. 健康保険
    2. 年金保険
    3. 介護保険

いずれの社会保険も転職の際には新しい会社に引き継ぐ必要があります。各保険の目的について、この機会におさらいしておきましょう。

健康保険

健康保険は、業務外で病気やけがをしたときや、休業、出産、死亡といった事態に備える公的な医療保険制度です。公務員や企業に勤めている会社員や条件を満たす短時間労働者(アルバイトやパートなど)は社会保険(社保)   に加入し、自営業者や年金受給者は国民健康保険(国保)に加入します。

  社会保険(健康保険) 国民健康保険
対象者 公務員、会社員とその扶養家族 個人事業主など
医療費 3割負担 3割負担
保険者 勤務先が所属する健康保険団体 居住している市町村
保険料の計算 給与額に応じて決定 前年所得に応じて決定
保険料の支払い 勤務先と折半で、自己負担分は給与から天引きされる 全額自己負担

年金保険

日本の公的年金制度は、20歳以上60歳未満のすべての方が加入する国民年金(基礎年金)と、会社員や公務員が加入する厚生年金保険の2階建て構造になっています。会社員や公務員は国民年金と厚生年金、2つの年金制度に加入することになっており、原則として65歳以降に、国民年金の給付である「基礎年金」に加えて、「厚生年金」を受けることができます。

介護保険

40歳以上になると、介護保険料も社会保険料の一部として給与から差し引かれます。介護保険に加入すると、65歳以上の方は原因を問わず「要支援・要介護状態」になったときに、40~64歳の方は病気が原因で要支援・要介護状態になった場合に介護保険サービスを受けることができます。

雇用保険

雇用保険は、万が一失業した場合に、失業給付金やハローワークでの求職支援などが受けることができる社会保険です。
「1週間の所定労働時間が20時間以上であること」「31日以上の雇用見込みがあること」の2つが加入の条件で、加入の手続きは雇い主である企業側が行います。

労災保険

労災保険とは、業務中、または通勤中に起きた労働者の負傷・疾病・障害又は死亡に対して、労働者やその遺族に必要な保険給付を行う制度です。健康保険や厚生年金保険、介護保険の保険料は企業と従業員の折半ですが、労災保険の保険料は企業側が全額負担します。

転職時の手続き

これまで見て来たとおり、社会保険は病気やケガ、失業、加齢などで生活が困難になったときに備えるための、非常に重要な制度です。転職後も社会保険に加入し続けるためにはどのような手続きが必要なのか、確認しておきましょう。

健康保険関連の手続き

転職に伴ってそれまでの勤務先を退職すると、健康保険に関する手続きを行う必要があります。必要な手続きは、退職後の予定に応じて異なります。

退職後すぐに新しい勤務先で働き始める場合

新しい勤務先の担当者が社会保険に関する必要な申請は行うため、自分で手続きを行う必要はありません。ただし、退職する会社から交付されていた健康保険証は使うことができなくなるので、退職日までに返却しましょう。

退職後、転職先で働き始めるまで時間がかかる場合

原則として退職後14日以内に健康保険を「国民健康保険」に切り替えなくてはいけません。居住している市区町村役場の窓口へ行き、退職した会社で発行された「健康保険資格喪失証明書」など、健康保険の資格喪失日がわかる証明書を提出して手続きを行ってください。

条件を満たせば任意継続も

次の2つの条件を満たしている場合に限り、希望すれば、継続して退職前の会社の健康保険の被保険者(任意継続被保険者)になることができます。任意継続被保険者になった場合は、原則として、在職中と同様の保険給付が受けられます。

任意継続の条件

  • 資格喪失の前日(退職日)までに継続して2か月以上の被保険者期間があること

  • 資格喪失日から20日以内に「任意継続被保険者資格取得申出書」を健康保険の運営組合に提出すること

任意継続の手続き

「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出後、特に問題がなければ、1週間ほどで「任意継続被保険者証(保険証)」が送られてきます。万が一、保険証が届くまでの間に医療機関にかかることになった場合は、一旦全額を自己負担で支払い、後日、領収書を添付して健康保険組合に「療養費支給申請書」を提出すれば、保険負担分の金額の払い戻しを受けられます。

任意継続できる期間

任意継続被保険者として加入できる期間は、原則として2年間です。2年以内に転職するなどして、新たな会社の健康保険の被保険者になった場合は任意継続被保険者の資格を失いますので、速やかに健康保険組合に保険証を返却してください。
なお、在職中の健康保険料は企業と被保険者(従業員)が折半して負担しますが、任意継続被保険者になると企業側の負担はなくなり、被保険者が全額を負担しなければならなくなることに注意が必要です。

厚生年金保険関連の手続き

厚生年金保険についても、退職後すぐに新しい勤務先で働き始める場合は、勤務先の担当者が社会保険関連の手続きを行うため、本人が行うべき手続きはほとんどありません。一方、転職までにしばらく期間を置く場合は、退職から14日以内に市区町村の窓口で、厚生年金から国民年金に切り替える手続きを行う必要があります。手続きの際には年金手帳と、離職票など退職日が確認できる書類の提出が求められます。

確定拠出年金

退職する会社で確定拠出年金に加入していた場合は、別途手続きをする必要があります。手続きの内容は、転職先の企業に確定拠出年金制度があるかどうかによって異なります。

転職先に確定拠出年金制度がある場合

転職先の確定拠出年金制度に加入します。年金資産を移管する手続きが必要になるので、転職先の会社の担当部署の指示に従って手続きをしてください。

 転職先に確定拠出年金制度がない場合

退職後6か月以内に個人型確定拠出年金(iDeCo=イデコ)の口座を開設して、確定拠出年金の資産をiDeCoに移換します。iDeCoの運営管理機関(金融機関)は、転職前の確定拠出年金と同じところでなくてもかまいません。

雇用保険関連の手続き

雇用保険被保険者証と雇用保険番号

雇用保険は一人ずつ個別に番号が割り振られており、勤務先が変わっても番号が変わることはありません。したがって、転職したら新しい就職先でも以前と同じ番号をそのまま引き継ぐことになります。

この番号は、「雇用保険被保険者証」で確認することができます。「雇用保険被保険者証」は原則として、在職中は会社が預かることになっており、退職すると、退職日以降に元の勤務先から送られてきます(取りに行くこともできます)。新しい勤務先に入社すると「雇用保険被保険者証」の提出を求められますので、誤って捨ててしまわないよう注意してください。元の勤務先から送付されるのが遅く、転職先への保険証の提出が遅れてしまうおそれもあるので、あらかじめハローワークなどに確認して自分の雇用保険の番号を控えておきましょう。

なお、退職後7年以上経った場合(7年以上雇用保険に入っていない状態が続いた場合)、その番号はデータから抹消されてしまうので、注意が必要です。

基礎年金の番号

基礎年金の番号を確認しておくことも大切です。転職先の会社から「年金手帳」の提出を求められることがありますが、これは厚生年金に加入するにあたって「基礎年金番号」が必要だからです。しかし、「年金手帳」を実家に置いてきてしまった、引越しの途中でなくしてしまったなどの理由で「年金手帳」がすぐに提出できないことがあります。そんなときも、基礎年金番号さえわかれば、厚生年金加入手続きを進めてもらうことができます。手帳をなくさないようにするのが一番ですが、万が一に備えて、基礎年金の番号を別途メモなどに控えておくと安心です。

ブランク期間中の保険料は控除の対象に?

転職先で働き始めるまでにブランク期間が生じてしまい、国民健康保険や国民年金に加入した場合、その保険料は全額自己負担になります。しかし、この保険料は社会保険控除の対象となるため、年末調整や確定申告の際に、保険料を支払ったことが証明できれば、税金が還付されます。年末調整や確定申告の際に提出できるように、納付済み証明書は捨てずに保管しておきましょう。

社会保険の加入条件

健康保険と厚生年金保険の加入条件

社会保険に加入するには一定の条件が設けられています。特に企業で働く場合に重要な「健康保険」と「厚生年金保険」に加入できる従業員の条件は以下のとおりです。2022年10月から短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用が拡大され、2024年10月からさらに拡大されます。これらの条件を満たす従業員には健康保険と厚生年金保険への加入が義務付けられています。

  1. 1週の所定労働時間が20時間以上であること

  2. 1か月あたりの所定賃金が88,000円以上であること

  3. 学生ではないこと

  4. 雇用期間が2か月を超えて見込まれること(一部例外あり)

  5. 従業員数が常時100人を超える事業所であること(100人以下の場合は、社会保険の加入について労使で合意がなされていること)

 *2024年10月から従業員数が常時50人を超える事務所であること、50人以下の場合は社会保険の加入について労使の合意がなされていること、に適用範囲が拡大されます。

正社員はもちろん、パートやアルバイトでも上記の条件を満たす場合は、社会保険に加入する義務が生じます。「配偶者の扶養から外れたくない」などの理由で、勤務先の社会保険に入りたくない場合は、「週に20時間以上働かない」、「1か月当たりの賃金が88,000円を超えないようにする」など、上記の条件を満たさない働き方をするようにするとよいでしょう。

自己負担額は
どのくらいかを
知っておく

国民健康保険、国民年金の自己負担額

職後、すぐに新しい職場で働き始める場合は、引き続き社会保険料は勤務先との折半で給与から天引きされます。一方、しばらくブランク期間があって自分で国民健康保険や国民年金に加入する場合、保険料は100%自己負担です。国民健康保険の保険料は年収・年齢・住所地・家族人数によって異なりますが、たとえば東京都新宿区では、給与収入が300万円の人の国民健康保険料は月額1万7715円となっています(※)。自分が国民健康保険に加入する場合の保険料の目安がどのくらいになるのか、自治体のホームページなどで目安を確認しておきましょう。なお、国民年金の保険料は月額1万6520円(2024年現在)ですから、新宿区に住む年収300万円の方は、国民健康保険と国民年金の保険料だけで月に3万4000円以上を自己負担することになります。
※出典 新宿区「令和5年度 国民健康保険料 概算早見表」

まとめ

  1. 社会保険は病気やケガ、失業、加齢などで生活が困難になったときに備えるための非常に重要な制度。

  2. 転職する場合は、社会保険に関する手続きが必要になる。前の会社を退社してすぐに他の会社で働き始める場合は、新しい勤務先の担当者が手続きをしてくれるため、本人がしなくてはならない手続きはほとんどない。

  3. 転職までにブランク期間がある場合は、健康保険から国民健康保険に、厚生年金から国民年金に加入し直す必要があり、本人が居住している市区町村役場の窓口で手続きを行う。

  4. 在職中は社会保険料のほとんどは保険料の半額を自己負担すれば済むが、国民健康保険と国民年金の保険料は全額自己負担となることに注意が必要。

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